昨年9月の医療費改定で、健保本人の2割負担と高齢者を含む受診者全体への薬剤費負担がはじまり、その結果、医療機関への受診抑制と病状の悪化をもたらしていますが、来月十月からの医療費改定では更に、高齢者とその家族に負担がふえようとしています。
  というのは、病院の一般病棟に入院している老人患者さんに対して病院に支払われていた看護料が、入院が6カ月を過ぎると約半額に減らされ、また90日以内の入院の場合でも病棟全体の平均入院在院日数によって、支払われる看護料にランクをつけられる事になる為、やむを得ずでも高齢者は退院をせかされる事になりかねません。
  重症のままの退院もふえるし、又在宅での治療が不可能な家族の場合、老人患者はどこに行けば良いのでしょうか。いわゆる老人病院をさがすか有床の医院に転院するか訪問看護で家族が頑張るかという選択肢しかない訳です。

  老健施設や特養は入院待ちが多く、なかなか入所できないのが現状です。
流動食をとり、半身不随で在宅酸素を受け、尿のバッグをつけながらの自宅介護患者が今後、確実に増えていくのです。

  それに2000年からの介護保険導入後は、老人の医療費負担が今の定額制から、一割の定率負担になる事がほぼ確実で、高齢者の負担は莫大なものとなるでしょう。

  今後は、高齢と少子化を先取りした「介護サービスの手厚い町へ」「高齢者に優しい自治体へ」と住民が移り住むという、市民が自らの為に自治体を選び移住するという動きがでてきているのもうなずけます。
 淡路島の五色町や山形県最上町にみられるような、「老人や障害者に優しい自治体」になるように,市民が自治体を監視し誘導していく時代になってきたといえるのではないでしょうか。
  

 1998年9月15日敬老の日によせて