健保本人の2割負担と受診者全体への薬剤負担を求めた昨年9月の医療費改定は、消費税引き上げと重なって、購買意欲の激減と医療機関への受診抑制をおこし、その結果、未曾有の不況と病状の悪化をもたらしたが、来月から予定されている医療改定で更に、高齢者とその家族に負担がふえようとしています。
というのは、病院の一般病棟に入院している老人患者の看護料が、6カ月を過ぎると約半額にされ、また90日以内の入院の場合でも病棟全体の平均入院在院日数によって看護料にランクをつけられる事になる為、やむを得ずでも退院をせかされる事になり、重症のままの退院もふえるし、又在宅での治療が不可能な家族の場合、老人患者はどこに行けば良いのでしょうか。

 いわゆる老人病院をさがすか有床の医院に転院するか訪問看護で家族が頑張るかという選択肢しかない訳です。
老健施設や特養は入院待ちが多く、なかなか入所できないのが現状です。
流動食をとり、半身不随で在宅酸素を受け、尿のバッグをつけながらの自宅介護患者が今後、確実に増えていくのです。

 それに2000年からの介護保険導入後は、老人の医療費負担が定額から一割の定率負担になる事がほぼ確実で、高齢者の負担は莫大なものとなるでしょう。

 社会保障への1兆円の国家予算の投資は約6兆5千億円の波及効果をもたらす(日医総研調べ)訳で、無駄な公共事業やつぶれかけた銀行救済にまわす金で、充分に沢山の医療福祉施設が建設できてかつ、老人の医療費負担をも少額に出来るのですが。



   1998年9月15日敬老の日によせて 佐賀新聞 98年9月22日号掲載済