「主張」 

「今次診療報酬改定に抗議する」

 総枠を据え置いて内部の点数を上げ下げしての目先だけの改定がここ8年間続いているが2004年度改定においても然りである。前回は総枠そのものの引き下げもあって不満が噴出し途中で一部緩和処置をとるなどの対応があったが今回も有床診や「外来診療料」の包括範囲の拡大やDPCの拡大などへの不満や抗議が噴出するであろう。

 社会的になにかと問題になった小児医療と精神医療をわずかに評価したとする一方で検査料や薬価の広範な引き下げを行い又200床以上の病院の外来診療料は4点アップしたものの包括される検査項目が6項目から72項目に大きく拡大され4点アップでは到底まかないきれないので実質マイナスになるわけである。
 
 批判の多かった「手術に関する施設基準」を「症例数+医師経験年数」から「医師経験年数」が満たされていれば減算なしとした点や包括病棟入院患者の他医受診日の入院料を15%から30%に上げたのはわずかであるが評価できる。ほかにも問題となっていたのが180日超入院の適用除外要件の見直しについてであるが、15歳未満の患者の追加のみでお茶を濁す結果になり多くの患者は前と同じく適用除外になっていない。

 急性期入院医療の包括評価(DPC)の民間病院への拡大問題は最後の最後までもめて交渉中断の事態にまでなったこともあってとりあえず92病院の「手上げ方式」で2年間の試行ということで決着したものの次回改定時には強行に実施をせまる事になるであろう。

 前回整形外科を中心に非難ごうごうだった消炎鎮痛処置の逓減が「急性発症の脳血管患者」についてだけだが、同一月内5回目以降から7回目以降に緩和された。また前回わざわざ統合されていた介達牽引がもとに戻され単独の点数として分離されたが、現場の医師が一致して声を上げれば官僚も修正せざるをえなかったわけで今後も協会として、おかしい点は妥協することなく批判し続けたい。
 
 最後になったが「有床診の入院の評価」として一日につき40点の加算がついたがその条件に対し保団連と全国有床診協を中心に猛反対の声が上がっている。というのも「医師が2人以上」という条件をつけているからで、そもそも有床診は1人の医師の管理のもとに医療を提供してきた他国にはない日本独自の医療形態である。

 一般病床の入院基本料は一番多いI群2の場合1日につき679点(7日間)541点(14〜30日)と6時間だけのディケア料よりも低額に押さえられているにもかかわらず地域医療のために赤字覚悟で頑張っているのに評価されていない。有床診も看護配置は4対1をクリアしているなら病院の最低ランクの一般病棟入院基本料II群の5の一日あたり820点位は評価してしかるべきだと思うのだが。病院に勝るとも劣らない設備と看護師を擁して夜勤手当を出しながら頑張っている全国16178の有床診の先生の叫びを汲み取る医療行政であって欲しいものである。
2004年3月号  佐賀県保険医新聞より