新年にあたりて

レニアムという記念すべき年を迎え、まことにおめでとうございます。

昨年は、政界では自自公という訳のわからない巨大連合が出来てから「なんでもパックン」

内閣といわれるように、次々と問題法案が国会を通過していったというまさに1999年にふさわしい「苦」の年でした。長期債務残高600兆円をこえ、リストラによる高失業率は国民の購買欲をますます抑制し、今年からの医療制度改革では、上限はあるものの老人の入院外来の一割自己負担の導入(診療所は外来1回800円で4回までを採用可)とか70歳未満の人の自己負担限度額の大幅引き上げ等が、7月から施行されることにきまりました。  介護保険も保険料半年間凍結という自治体の面子まるつぶれの選挙対策が決まり自治体の反発は新聞紙上でも問題になりましたが、全国の高齢者全員の介護保険料を半年間無料にするのにはわずか3200億円必要になるだけですから、はじめから保険料とらないでもよかったのではないでしょうか。銀行救済には、その25倍もの金で補填してあげる金があるなら。

 ところで、医療費を抑えるのに一番さきにするべき事は、まず薬価そのものをさげる事です。建値制になってから、不思議にも不況なこの時に、経常利益を上げ続けている薬業界には少し競争原理を導入してもらって、欧米なみに薬価をしていただけば、健保財政も格段に良くなるしマスコミのいう「薬価差益」(現場ではもう死語だが、マスコミはまだ使っている)という濡れ衣を着せられることもないでしょうから。

 とにかく、今年中にある衆議院選挙に、我々医療業界は、国民を健康に健やかに生活できるように盾となるべく、よく考えて代議士を選ぼうではありませんか。個々の医療に埋没して、政治から逃避しているのが良医と錯覚されていた時代は終わりました。

 医師たるもの学ぶのは当たり前で、更に政治にも関心を抱いてかつ行動すべき時期が来た事を認識する必要があるのではないでしょうか。医療を、我々医療人と国民の手に取り戻すために。

2000年元旦