潰瘍性大腸炎や全身性エリテマトーデスやパーキンソン病等厚生省が指定する40の難病(特定疾患治療研究対象疾患)の医療費について5月1日から患者一部負担制が導入されようとしています。
これまで全額公費負担でしたが、重症患者と一部の疾患を除く難病患者に対し、入院月1万4000円外来1回1000円(月2回まで)の自己負担が課される事となり、全国の36万人の患者のみならずその家族関係者から不安と憤りの声がわきおこっています。

 1972年に策定された医療費公費負担制度によって、難病と闘いながらの厳しい生活のなかでどうにか継続して医療を受けることができたのですが、この制度が無くなれば、患者家族への経済的精神的負担は莫大となり、当然のことながら受診抑制と病状の悪化がおきる事が目にみえています。
難病患者の生活の実態といえば、その多くは定職につきにくく収入も少なく不安定で、おまけに通院の交通費や保険外負担や介護費用に追われ、更には家族にまで肉体的精神的負担を強いている事への負い目からも、これ以上の負担には耐えられなくなってきています。難病の方は、まだ根本的治療法が確立されていないうえに、増悪寛解を繰り返しながら時には死への恐怖とも闘いながらのつらい日々を送っておられるわけです。

  昨年一年間の難病への公費負担は186億円でしたが、今度の患者負担の導入によって当然増やす必要のある国庫負担が約62億円削減できると厚生省は試算しています。
このたった62億円を削減するために、36万名の患者を犠牲にしていながら、かたや銀行支援にはその5000倍の資金が使われている事等にたいし、納得いく説明を聞きたいものです。
今回の難病への自己負担導入は医療福祉改悪の一連の動きの一端であり、難病患者だけの問題でなく、広く医療厚生福祉関連にわたる社会全体の問題としてうけとめるべき大きな問題である。

  以上の事から、われわれ佐賀県保険医協会は特定疾患治療への患者負担導入に断固として反対し、国と県にたいしこの通達の撤回を要求するものである。


        1998年4月30日