佐賀県保険医協会第24回定期総会挨拶

「医療福祉の改悪から国民を守る砦に」

             
  第24回定期総会を迎え、開会の挨拶を一言述べさせて戴きたいと思います。
小泉内閣が発足して丸4年が経過しましたが、当初の「自民党をぶっつぶす」という名せりふは何処へやら、「国民の医療福祉の基盤をぶっつぶす」という方向に軌道修正してしまっています。

  3歳から70歳まで、国保も社保も入院も外来も全て3割に統一されてから丸2年が経過しましたが更に今年10月からは介護保険での入所者の食費と居住費を介護保険の給付対象から外し自己負担になるため、入所者の負担は月2〜3万円増える事になります。

  例えば介護度5で相部屋の場合、月5万6千円払っている人が月8万7千円を払うようになるわけです。これによる政府の支出削減効果は年たったの3千億円と試算されています(ちなみにこれは、公務員の人件費31兆円の1%にも満たない額)。

  医療保険での入院者に対しても介護保険入所者との整合性を計るという意味で早晩、食費と居住費の自己負担が導入されるでしょう。高齢者の外来負担も一定所得層は3割にしようとの論議が具体化してきました。

  更に大きな問題は、日本の医療保険制度の根幹を揺るがす「混合診療の解禁」であります。貧富の差で受けられる医療に差が出る「混合診療」に厚労相と規制改革担当大臣の基本合意が行われ、混合診療にGo signがでたのも同然です。保険外の高度先進医療技術と保険診療の併用も認められるようになり、これまでは、経過処置後は保険適用になってきた高度先進医療技術が、いつまでたっても保険適用にならなくなるため経済的弱者には「それなりの」医療しか受けられなくなるわけです。

  我々開業医は「国民の保険外負担を増やすな」という一心で国民を守る砦にならなければ日本の医療の明日は無いといえるでしょう。高度先進医療の保険外部分の患者負担の総額はたった約7億円なので、何処かひとつの公共ビルを競争入札にしたくらいで捻出できる額ですから、医療保険に組み込んでも全く影響はありません。単なる「弱い者いじめ」です。我々、保険医協会はとことん国民の医療福祉の向上の視点に立って、国民の目線で、かつ国民の砦となり、政府与党と対峙していくというスタンスを堅持していく所存であります。より多くの医師、歯科医師の先生方の結束を期して挨拶にかえさせていただきます。
            

2005年7月30日