筑後川たより No.9    H12.1.14

 明けましておめでとうございます。

 2000年問題も無事クリヤでき、皆様方には御元気で良いお年をお迎えの

ことと存じます。

 旧年中は公私共に大変お世話になりましたが、これからも環境問題の勉強を

深め、マスコミや広報くるめに載らない事どもを皆様にお伝えしていきたいと

思っております。

 その水は高良川や地下水となって筑後川に流れ300万人の飲料水となり、

筑後平野を潤して有明海にそそぐ、地元の水源地を自分たちの出すごみで汚染

してしまっては、杉谷1つ汚染から守れなくては久留米市民は以後一言も環境

問題を口にする資格は無くなります。市民の名誉にかけて杉谷の水源地を守り

たいと願っておりますので、本年もご指導・ご支援の程どうかよろしくお願い

申し上げます。

 さて、環境ホルモンとして子孫の存続を脅かす猛毒のダイオキシンを含む焼

却灰の処分場予定地、杉谷ですが、市は昨年9月24日、17分別でごみが

減ったからという理由で埋立地の規模を半分に縮小し、二段階に分けて着工す

ることを決議、11/26には測量を実施し今年の後半には着工するという厳

しい計画を発表しました。

「ごみは増え続ける」という発想のもとに谷間を大きく埋め立る市の計画はお

かしい、という裁判所での反対派の主張が容れられたものともみえますが、そ

れならより危険の少ない別の候補地を探すとか分散型にするとかの発想は無

く、単に現計画を阻んでいる「保安林」を避ける形の、処分場としてはより無

理の有る施設を造る案を浮上させております。(末尾の図参照)

 4月の菊池への焼却灰持ち出しが始まって以来あまり静かでしたのでそろそ

ろ、とは思っていたのですが急遽「筑後川たより NO8」を作り、昨年10

/14に橋田先生をお誘いして支持者の方と三人で上京、いつものように松本

ゆいこ衆議院議員(民主党、男女共同参画社会基本法や介護保険の専門家、環

境問題にも熱心な取り組み)の鳥井秘書の骨折りで厚生省、環境庁、林野庁を

訪ねることができました。その為、このNO9とNO8の内容が前後し、読み

辛い点が有るかと思いますがどうかお許し下さい。

 厚生省では総勢6名の方が対応して下さったのですが、まず杉谷埋立予定

地、その近くを走る活断層、久留米市の焼却灰を受け入れた菊地渓谷上流の

「九州産廃」の処分場、7/20に見てきたばかりで10/6に作業員2人の

死亡事故が起きた筑紫野市の産業廃棄物処理場「産興」の様子を写真集で説明

し、美しい杉谷の水源地もいったん処分場となれば同じような結果となり兼ね

ないこと、さらに新埋立地計画の異常さや市民が17分別に励んだ結果この処

分場の縮小計画ともなり、この春には 杉谷の水源地を汚染から守りたいとす

る新市会議員が一挙に4人も誕生する(今村由子、丸山俊次、甲斐征七生、木

部典昭市議)という、市民のごみ問題の意識の高まり等をじっくり聞いて頂き

ました。橋田先生は「久留米市のごみ埋め立て地計画と森林保護条例制定のた

めの要望書」を提出されました。

 また、厚生省、環境庁ではデポジット制の担当の方からそれぞれ前向きに調

査を進めておられる由伺ってきました。みんなの後押しで一日も早く実現させ

たいものです。(末尾詳述)

では、NO7を出した昨年4月以来、私の見た事、聞いた事、考えた事を書い

てみたいとおもいます。つたない文章ですがどうか最後までお読みください。

 

 杉谷での抗争(まず、現在の埋立予定地問題の状況をお知らせいたしま

す。)

市が予定変更による新規計画の為の測量を始めるというので、11/26、2

7、28、と12/21の4日間、杉谷での反対派地元住民による抗議運動に

立ち会いました。

住民の意見は

・ 現在、建設の是非を巡って裁判で係争中なので、一方的に測量に入らない

  でほしい。 

・ 新計画について納得の行く説明をして欲しい。

・ 新計画のL字型コンクリート擁壁は安全性に問題が有る。

・ 分散型にするなどして、もっと条件の良い場所を選べ。 等というもので

これに対する市の助役や環境部の言い分は

・ 今回の測量は新しい計画の為であり、裁判中の古い計画とは関係ない。

・ 測量をして設計をしない事には説明はできない。

・ 学者が安全と言っている。          

・ 市議会(皆さんが選んだ市議達による)の決定に従うべきだ。

・ 新しく場所を探すには時間が無い。

というものでした。

 今回新たに採用されるL字型擁壁というのは谷の保安林に指定されている部

分を巧みに避けて、谷の中央付近を流れる谷川に沿って高さ14mのL字型の

コンクリートで囲み処分場にするというものです。これが安全だと言っている

学者の名前までは分かりませんが、これを聞いてとんでもないことだ、と断言

する学者や土木専門家は沢山いらっしゃいます。水俣病や薬害エイズで行政に

逃げ口上を与えて被害を大きくしたのは行政の御用学者たちでした。そうでな

くても学問の世界は日進月歩、古い学説に固執して取り返しのつかない間違い

を犯さないようにして欲しいものです。

 また、8,190万円の予算を組んで民間業者に測量・設計を依頼している

そうですが、それだけの税金をつぎ込んだ後、これではダメだと反対されても

「では止めましょう」と市が言えるはずは有りません。やはり反対をするのは

今しかないのです。

 市議会の決定というのが曲者です。しかし、必ずしも多数決で決まった事が

常に正しいとは言えないという事は皆さんよくご存知だと思います。

市議は市民の皆さんが選んだと言われればそのとおりで、まだ市民の中には環

境問題の重要性の認識が甘く、この問題を衛生というレベルでしか考えられな

い人も有り、子孫の事より現在の自分の事が何より大切であるという人の多さ

がこの多数決の結果ではありましょう。ただ久留米市には選挙の際に政見表明

の広報紙も無く、各候補者がどのような意見の持ち主なのかを知る手がかりさ

えありません。(もっとも、公約が100%信用できるか否かは別ですが)

しかも、市の広報紙に載っているのは毎度まいど市に都合の良い一方的な言い

分だけで、反対派の意見を載せたことは無く、まるで市民は「市政たより」で

マインドコントロールされている状態です。昨年の市議会で丸山俊次議員がこ

の点を突き、公平さを欠いた広報紙の悪用だと喝破しましたが、悪用という言

葉はまずい、ということで議事録から削られてしまいました。この時だけでな

く、彼は一議員として信念を貫くために党内外の圧力を受けながらも頑張って

おられます。お若いのにすばらしい勇気だと頭が下がります。

話がそれましたが、約600人もの地元住民が丸11年もの間、入れ替わる行

政のプロ達を相手にカンパのお金を出し合い(税金を払った上に)、馴れない

裁判をし、畑仕事を休んで一丸となって頑張って来た事はもっときちんと評価

されて然るべきではないでしょうか。そのエネルギーの基は何なのか、なぜこ

こまで頑張れるのか、単なる欲得ではできない事です。

 さて、最初の日11/26は河内先生、橋田先生などと杉谷に駆けつけまし

た。地元住人5−60人が谷を上下に貫く市道の上手、下手に分かれて測量隊

を待ち受けます。午前9時、測量隊2−30人が市の助役や環境部の部長達を

先頭にやはり二手に分かれてやって来、少し離れた所には私服警官数人が見守

り、TVカメラや新聞記者多数。機動隊の入った5年前の苦い経験から体に触

れる事はありませんが上記のような激しい遣り取りが3―40分程続く、その

ような事が1日に3―4回。初めての体験にすっかり緊張し、くたびれ果てま

した。

 2日目からは弁当を持参して、テントの中やたき火の端で皆さんの話を聞か

せてもらいました。72才になる方は50年前の新婚当時、目の前に立ち並ぶ

見事な杉の木の苗を御主人や財産区の人達と一緒に植えられたそうです。「主

人が穴を掘って私が苗を植えます、根をこんなふうに広げましてな…、それか

ら毎年下草を刈って…」 木が生えてなければガラガラと崩れて、とても登れ

たものではない急斜面に苗木を植えて山を守って来た人の慈愛のこもった話で

した。また、ある方はこの谷の入り口に有る「山ん神さん」に有る顕彰碑の話

をして下さいました。それはその下をゆく谷沿いの道が造られた時の記念の碑

で、彼の曾じいさんの名前も刻まれているそうです。「杉谷は私の先祖達が

代々大切に守ってきた所です、私の代でごみの山にはしたくない。毎月1と1

5日には山ん神さんに参りに行きます、でも何も祈りません。ただ曾じいさん

達ご先祖さんに会いに行くだけです。」と言って涙を流しておられました。

この谷は毎年6月になると蛍のみごとな乱舞がみられ、蛍を見る会も行われて

います。

 地元は農家が多くちょうどネギなどの冬野菜の出荷の最盛期でしたが、若い

人達は勤めに出ますので、こんな時や裁判の有る時は主婦やお年寄りが代表で

各町内から交替で出てみえます。

 3日目の11/30はとうとう元気のよい8人の方が立ち入り禁止と通行防

害禁止の仮処分を裁判所に申請されてしまいました。裁決が下りますと暫く此

所には来れなくなります。

12/21は前日からの雪で山は殊のほか冷えました、万全の身支度をしたつ

もりでしたが谷川の小さな「参らず橋」の上で例のような遣り取りを聞いてい

ると足先からしびれるような寒さです。大きなたき火がほんとうに有り難い、

大きな白い灰の層が随分厚くなってこの日3度目の攻防の後、参加していた5

0人があっさり仮処分の申請を受けてしまいました。

12/26から、とうとう測量隊が山に入り、測量が始まりました。しかしこ

の攻防で市の予定を一ヶ月遅らせ、計画を相当狂わす事が出来た、ということです。

でも、なぜ、まだ裁判も終わっていないのに…。大事な畑仕事を放り出して寒

さの中で頑張るお年寄りたちの気持ちを思うと本当に気の滅入る出来事でし

た。新しい場所を探すには時間が無い。の一点張りで、市長が変ってからでも

もう5年近くたっています…。探しもしないで他に無いとは言わせません。他

に無くても、危険だから杉谷に造る訳にはいかないのです。

 ある市会議員が「杉谷にしておけば当分処分場に困る事はない。」と洩らし

たそうです、きっとこれが次の選挙の事しか考えない政治屋さん達の「本音」

なのでしょう。

 しかも、適当な場所は他に有りますしそれを一部の市議などは知っている模

様です。しかし次の選挙の事などを考えると自分の口からは言えない、という

のが真相のようです。このような市議たちを選んでしまったというのが、この

11年の杉谷の受難の始まりです。地元住民も私達も市が本当に環境の事を考

えた処分場を造るまで、まだ何年でも頑張るつもりです。どうぞ見ていて下さ

い。

<菊地へのお詫び行>

 3/29 (2/26に市が菊池市への焼却灰持ち出しを発表、3/18に

支持者の方と2人で陳情のために上京(NO7に詳述)の後、)「筑後川の水

源を守る会」「農薬問題を考える会」「筑後川水問題研究会」「高良山・水源

の森 森は恋人の会」の4団体で市長へ抗議文を提出。

4/1  とうとう菊池市の廃棄物処理会社「九州産廃」の最終処分場へ1日

30tの久留米市の焼却灰が搬出されはじめる。

以上のような経過の後、

6/24に「高良内住民の命を守る会」の約50名の方達と共に、「菊池市の

方達との交流会及び産廃処理場の見学」に出かけました。

 あい憎の雨で水嵩の増した菊池渓谷に沿って遡った山の中に大きな処分場が

広がり、遠くにトラックが雨に煙って働いているのが見えました。その後地元

の「ふるさと水迫を守る会」の皆さんと意見交換会が有りましたが、話による

と処理場が出来たのは17年も前で、すでに100万tもの産業廃棄物が埋め

立てられており、井戸水で暮らしている地元住民は反対運動を続けているもの

の、刺青をした人たちに脅されて、次々と落伍者が出る状態であると交々に説

明して下さいました。

 その後、山を下り大きな会場で「産業廃棄物処理場増設・拡張に反対する市

民の会」の方達との話し合いに移りました。そこでは菊池市の市会議員の1人

が「自分達のごみを我々の水源地に押し付けて、いったい久留米市民はどのよ

うな気でいるのか。」と迫り、ヤジもとんで私達は一言も無く静まり返って緊

張に包まれました。しかし水源地を守りたいという気持ちは同じです。なにか

一言と覚悟を決めた時、弁護士の馬奈木先生が「あなた達は自分達の水源地を

汚すというが、ここにはすでに17年前から100万tもの産廃が埋め立てら

れている、その結果がこれだ。お分かりのように一旦処分場になってしまうと

止める事は難しく、被害は大きくなるばかり。処分場になる前の状態に戻すの

は非常に難しい。私達はあなた達の二の舞をしたくないが為に 処分場が出来

る前に頑張っているのだ。久留米市の暴挙を一日も早く止めさせるには菊池と

久留米双方で反対運動を盛り上げ、久留米市の反省を促して正しいごみ行政を

させるのが本当ではないか。」と諄諄と説いて下さり、一同納得せざるをえま

せんでした。後はお互い健闘する事を誓って、和やかにお別れする事ができま

した。

 しかしこれ以上菊池の皆さんに迷惑をかけるわけにはいきません、菊池と杉

谷両水源の為に少しでも多く ごみを減らさなければなりません。これはその

気にさえなれば誰にでも出来る事です。無駄なものを買わず、生ごみを減らし

て、17分別です。

 もっともダイオキシンなどが出ますから、紙や樹以外の物はたとえわずかで

も自分で燃やさず、必ず燃えるごみの日に出して市の大きな焼却場で燃やして

もらいましょう。

<筑紫野市「産興」産業廃棄物処分場>

 7/20 筑紫野市の市議辻本美恵子さんの案内で、上記処分場を見学に連

れて行ってもらいました。ここは筑紫野市、太宰府市、小郡市に水道水を供給

する山上ダムの1.4km上流に在り、汚水による「黒い沢かに」とTVや週

刊誌に取り上げられた所ですが、なぜか地元福岡では放映されなかったと聞い

ております。この見学の2ヶ月半後に此所で作業員3人の硫化水素ガスによる

死亡事故が起きてしまいました。

 久留米の現埋立地同様、その正門付近はごみの上に表土を被せて整えて在り

ますので一見そこがごみの処分場とはとても思えません。しかし山の中を大き

く迂回をして裏に回って見ますと1ヶ所は産廃の山がまるで平成新山とでも言

うべき高さと大きさでそそり立ち、あまりに高くなりすぎて危険な為、県から

注意を受けて頂上付近をブルドーザーで削っておりました。

 更に進んで行きますと、なんと自然歩道に沿って何十メートルも片側は見上

げるばかりのごみの山。電化製品、古タイヤ、プラスチック製品、木切れ、コ

ンクリートの塊などありとあらゆる物が高さ数メーターの崖をなし、土とも焼

却灰とも知れぬものにまみれておりました。みんなでその崖をよじ登って見ま

すとその上は更に高いごみの山になっており、恐ろしげなおじさんが「よその

土地を勝手に覗くな!」と怒鳴りながら走って来て、同道の男性につかみ掛ら

んばかりの状況となり、男性の身の危険さえ感じたくらいです。更に進みます

と建物の陰に小学校の焼却炉を数倍大きくしたような小型焼却炉が黒煙をあ

げ、ごみトラックも来ていました。

 ほこりと悪臭に兎にも角にも一刻も早くお風呂に入りたい思いでやっと車を

停めた山道まで返って来ますと、今度は4WDの大型ジープに乗った大男が2

人やって来て私達の仲間の車の退路を断ち、刺青をちらつかせながら辻本議員

に詰め寄って、一時は全員揃って下山できるかと心配しました。無事見学を終

わった時には一同心からホッとしたことです。

 そのような事が有りましたので、10/6に2人の作業員の方が亡くなり

(10/28に重体の1人も死亡)、10/29には「高良内住民の生命を守る

会」ほか7団体の方達が県に処分場の発掘調査など早急な原因究明の申し入れ

をされるというので、私も県庁に駆けつけて名を連ねさせてもらいました。

この処分場ではすでに4年以上前から異臭が話題になっており、県は1997

年以来何度か業者に対し「不許可のごみを埋めた」ための厳重注意及び「硫化

ガスの原因究明」を指示していたにもかかわらず、業者に配慮して市民には知

らせなかった(10/18西日本新聞)ようです。つまり、県は今回の事故は予測

できたのに業者に対しては文書などによる注意や指導のみで、それを実行した

か否かの確認はせず、市民を騒がせない配慮だけしていたということでしょ

う。

 なぜ危険なガスが発生したのか、すぐ埋立地を掘り起こして事故の原因を究

明するよう要求されたのですが県の担当者は事故調査委員会の学者たちに判断

をまかせているのでと逃げの一手でした。業者に配慮して、証拠隠しの時間稼

ぎをしていると言う人さえいました。

 ごみが溢れては県も困りますから、産廃は業者に任せ一般ごみは市町村に任

せきりで独自の処分場を持っていない県としては、業者などに開き直られてし

まうと監督するどころではなく、どうしても業者や市町村に甘くなってしまう

のでしょう。しかしこれでは環境はメチャメチャです。ごみの問題はもっと大

きな視点で考え直し、システムを変えないことには本当の解決は難しいようで

す。

 このあたりの事については、熊本一規著「ごみ行政はどこが間違っているの

か?」を是非お読み下さい。様々な疑問が氷解します。市の図書館にも有りま

すし、とても読みやすい本です。

 11/14 筑紫野市での「産廃連絡協議会」にて、瀬戸内海のごみの島と

して一躍有名になった豊島(てしま)で頑張ってこられた石井亨さん(現香川

県県会議員)の話を聞く事ができました。それによると、産廃処分場の進出に

反対する島民をよそに、開業の許可を与える権限を持つ県知事がまず業者に脅

されて、許可を与えてしまった。個人的に脅かされてはどうにもなりません

が、警察は一体なにをしていたのでょう、やっぱり脅されるだけでは事件とい

えなかったのでしょうか。それ以来13年間、有毒物質も何もかも一緒くたの

不法投棄で、島民の反対のお陰でこの頃やっと新たにごみを持ち込まれること

は無くなったものの、今度はそこから瀬戸内海に重金属などの有毒物質が雨水

と共に永遠に流れ出るというので、これから埋め立てられた物を全部掘り起こ

して再処理するようです。が、業者に後始末の能力は有りませんから、フィ

リッピンから返って来たごみと同じように私達の貴重な税金が使われることに

なるようです。ますます福祉へまわるお金が少なくなるのではないでしょう

か。

 また有毒物による汚染だけでなく、島は「子孫の為にむかしの素晴らしい自

然を取り戻したい」と頑張った老人だけになり、若者達は豊島出身と言われる

だけでも嫌だと帰ってこない、心豊かな島の生活を破壊されてしまったその保

証を求めようにも県知事も担当職員も代わってしまった香川県は県には責任は

無い、責任を取るつもりは無いと言っているそうです。

実はこれまで処分場の基準や監督が甘かったために、現在の基準を満たしてい

ない筑紫野市や豊島の処分場の様な所は多く、放っておくわけにいきませんか

ら、これから日本全国各地でこのような再処理問題が起こると考えられます。

まるで杉谷の将来を見るようですが、

杉谷の場合は特に地盤が悪いので、一旦地震などで基礎工事が壊れるとザルに

入れた水のように有害物質が地下水を汚染して広がってしまい、取り返しのつ

かない事になります、捨てられたごみの再処理以前の問題です。アメリカでは

莫大なお金を使って地下水汚染の後始末をし続けている所があるそうです。

 何はともあれ、環境を守る為にはごみを減らし、また市の着工を阻止して杉

谷を汚染から守らねばなりません。

ごみを減らせば焼却時に発生するダイオキシンも減らせますし、処分場も小さ

くて済みます。

どうしたらごみを減らせるか、そのひとつにデポジット制があります。

 デポジット制とは預り金制度ということですが、わかり易く言うとカンやビ

ン、ペットボトルなどの容器に入ったジュースなどにいくらか高い値段を付け

て売り、その空になった容器を持って行くと高くした分だけお金を返して貰え

るという制度です。使い捨てやポイ捨てを減らし、ごみも減って市がその回収

のために使っている税金も少なくて済む。欧米だけでなく台湾や韓国でもすで

に実施され、しっかり効果を上げています。

 遠賀郡の妹川氏たちが「デポジット法制定に関する請願書」の為の署名集め

を始められましたので、私もお手伝いをしたいと思い一昨年の暮れにNO6と

共に署名用紙をお送りした次第です。集まった署名は確かに妹川氏へ送らせて

頂きました。ご協力大変有難う御座いました。

 数が多いので個々にすぐお礼状が出せなくて申し訳ありません。

また、久留米市議会からも国に対し「デポジット制度の法制化を求める意見

書」を出してもらうよう、昨年6/22に市議会へ請願書を出し、現在 建設

委員会で審議中です。

 ごみの減量には生ごみの堆肥化も有効です。

生ごみは水分が多いので燃やすと燃料をくいますし、大気汚染や灰の処分場の

問題が残ります。

 昨年11/13に春日市「あすばる」にて「生ごみリサイクル全国ネット

ワークin九州交流会」が行われました。これには「産直くらし」の鶴久ちず

こさんが頑張っておられますが、この日は専門家による生ごみ堆肥の特徴や堆

肥作りの基本、生ごみリサイクルの現状などなかなか興味深い、内容の濃い講

演が有りました。生ごみの堆肥化には東京都はじめ幾つかの自治体がまだ実験

的なものもありますが実際に様々なやり方で取り組んでいるようです。

食品―生ごみー肥料―植物―食品とリサイクルを繰り返しても有害物質の濃縮

の心配はしなくて良いそうです。生ごみを堆肥化する装置はすでに様々に開発

されています。

 この件には厚生省、環境庁、福岡県も積極的に後援しているようでした。久

留米市役所からも一人参加しておられたそうですが、私達もしっかり応援、協

力しなくてはなりません。

 生ごみは各家庭から出るものですから、まず市民の協力とそれを集める自治

体、出来た堆肥を使ってくれる農家や農協の協力にリサイクルの成否がかかっ

ています。

 ただ、生ごみからすぐ肥料にして使うとメタンガスが出るというので、素人

考えですが私はまず生ごみを集めたら、燃料としてメタンガスを発生させてか

ら堆肥化すれば理想的ではないかと思います。肥料としての効力は変わらない

そうですから、どなたか安くて公害を出さない立派な装置を考えて頂けません

か? マンション1棟にメタンガス発生装置を1つ、そのメタンガスで走る車

がガスの抜けた生ごみを堆肥化処理場へ運ぶ、なんて事になったら最高です。

 

 しかし、それでもごみが0になることは無いでしょうから最低限の処分場は

必要です。

市民の環境問題の意識が環境衛生のレベルであるかぎり、杉谷以外の何処で

あっても反対運動は起こると思います。しかし危なくない処分場を計画し、幾

つかの候補地をあげて冷静に比較検討すれば、自分でもごみを出す以上きっと

納得し解決出来るのではないでしょうか。

 現に、武蔵野市では市民委員会をつくり4ヶ所の焼却場の候補地からもそれ

ぞれ代表が3名づつ出て話し合い、研修にも出かけて納得の行く場所を選んだ

そうです。そして市民全部が環境問題を意識しごみ減量に励むために市役所の

隣に焼却場が造られました。その後建設計画段階から現在まで一環して市民参

加が貫かれているそうです。(丸山市議発行、ボイス21より)

かってこの「筑後川たより」で紹介しました、響き灘に実験棟の建っている

ドーム型の屋根付き処分場(KKフジタ、HPドーム工法)はすでに実験の段

階を終え、最大で直径60m、内用量52000リューベの物が許可さえ下り

ればすぐ設計、施行に取り掛かれるそうです。これの良いところは万が一のこ

とが有ってもすぐ補修など何らかの手が打てることです。これなど焼却灰の処

分場として市役所の横にぴったりではないでしょうか。

そうすればみんな環境問題の大事さを思わずにいられないでしょう。

 ところでこの「筑後川たより」は平成9年の署名運動などのお礼を込めたそ

の後のご報告として現在650通ほど作り、うち100余通は市外に、残り5

00余通を送ったり手渡しで久留米の方に差し上げているのですが、何分私一

人の手ではこれが精いっぱいです。

 もし皆様の中でお知り合いに「これよかったら読んであげて、」と1通でも

良いので渡して頂けたら助かります。今回から余分に作りますので、私を見か

けたら「あと3通追加!」とお声を掛けて頂きますようお願いいたします。

一人でも多くの方になぜ私達が反対しているのか知って頂きたいのです、決し

て反対のための反対ではありません。どうかよろしくお願いいたします。

(これをコピーして下さってもかまいません。)

   

             筑後川の水源を守る会  福田万里子