電子メール社会のエチケット Copyright (C) 2000(1/20-1/31,4/18)-2001(1/25,2/24,4/16-17),2005(6/23,7/21),2009(5/50) |
◆ おしらせ 2009/5/20 ◆ インターネット上のページのメールアドレスは危険!という図解をアップロードしました.上の行をクリックするとご覧いただけます. |
郷に入らば郷に従え インターネットを創生期(1969年〜)から利用していた人々は主に技術者や研究者たちでしたので,彼らはインターネットのしくみを良く理解していたはずでした. 現実社会で必要とされるルールだけではとてもインターネットの世界では安全に生きていけません. −あなたのためにも,インターネットの健全な発展のためにも − |
電子メールについての一般的なこと... 通りがかりの人に道をたずねる際には,遠慮がちな態度と声で「済みません」と声をかけ,笑顔で明るくお礼を言って別れます. 電子メールでは,顔の表情や声の調子,身振り手振りといった雰囲気が伝わりませんから,エチケット(ネチケット)は日常生活よりも意識しておかないとあらぬ誤解やトラブルを招くことがあります. ネチケットは誰のために?みんなのために! インターネットを利用する全ての人とインターネット資源そのものの利益ため,これがネチケットの目的です. しかし,そもそもネチケットの本質とは,ネットワーク社会の中で被害を被らないようにするためのもの(自己防衛)であると同時に,他の人へ迷惑をかけないようにするという配慮であり,特別な インターネットを利用している人々の使用している環境(使用しているコンピュータ,その部品,使用しているソフトウェア,ネットワークの種類,等々)は,全く同じ人間が存在しないのと同じように全て異なる,という前提で考えること,言い換えれば,人の数だけ個性があり,その一つ一つを大切にしよう,という優しさこそがネチケットの本質と言っても良いのかもしれません. |
電子メールは厳密に読まれがち 電子メールには見えない落とし穴があります 記者や小説家ではない私たちが書く文章は,新聞・雑誌・小説のようには真実・意見・意図を過不足なく表現できていない可能性がありますが,電子メールは活字として目に飛び込んできます. 私たちは学校の国語教育で読解力を身につけており,特に活字になった文章には無意識のうちに敬意を払っています. 目から入る情報は大脳のほとんど全ての機能を賦活しますので,文字情報は読む人の人生経験の全てと対峙することになります. 特に,微妙な問題や反対意見を言う場合には,「言葉を選ぶ」必要があるのは言うまでもないことですが,同音異義語の多い日本語では,たった1つの誤字が文意を異なったものしてしまうことも忘れてはいけません. 電子メールを書くときには,どう読まれるかに気を配る必要があるのはもちろんのこと,読むときには書き手の表現力が十分でないかもしれないことを念頭に置く必要があるのです. |
読めない文字を使わない. 読めないメール? 手書きの汚い文字じゃあるまいに...と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょうが,残念ながら,本当です. たとえば,
これはほんの1〜2例に過ぎません. |
いわゆる「半角カタカナ」はインターネットでは使わない. コンピュータは2進法で作動していますが,「0」と「1」の2種類では何もできません.そこで,8桁の2進数(ビット)を組み合わせて「バイト」という単位で取り扱います.1バイトは,28=256種の状態を表すことができるわけです.インターネットを支えているシステムであるUNIXでは,コンピュータで扱える文字の数はタイプライターで打てる文字の数だけあれば十分ということから,27=128種を文字として扱い,1バイトで表すことのできる残りの一部にはシステムの制御コードが割り当てられました. # 日本だけが特殊なことをしているのではなく,MS-DOS(英語版)ではヨーロッパの文字(ドイツ語のウムラウト,フランス語のアクサンなどの付いた文字など)やグラフィック文字(罫線等),「≡ ÷」等の記号が日本のいわゆる半角カタカナと同様に「拡張文字コード領域」(上記256種の後半分)に割り振られており,やはり電子メールには用いることはできません. |
文書の著作権を意識して引用・転送しましょう.しかし全文引用はダメ. 人の書いた文書には著作権があることを常に意識しましょう. 受け取ったメールを他の人,とりわけ他のメーリングリストに紹介したいと思ったら,まずはそのメールを書いた人に許可をもらわなければなりません. 転送する場合には原文に変更を加えてはいけません. 原文から一部分だけを引用する場合には,原文の意図が変わらないように注意することが必要です. しかし,逆に受け取ったメールの署名を含めたり,不必要な部分を多く含むような引用,果ては長文の全文引用は,そのメールを受け取る人に ・混乱(署名が複数ある!? 誰が書いたもの??)といった感情の乱れを生じさせるばかりでなく,インターネット回線の混雑の原因をも作り出し,インターネットを利用している更に多くの人々のイライラを引き起こしているかもしれません. メールを音声で読んでいる視覚障害者にとっては,ことさら問題になる可能性は十分にあります. |
日本語35文字以内で改行しましょう. 1行の長さはあまりにも短くても読みにくいものですが,長くとも35文字以内で改行するようにしましょう. 画面の広さ(幅)より1行の長さが長い場合でも改行までを必ず1行として表示するようなメールソフトでは,画面の外にはみ出した部分は全く読むことができません. メールソフトの中には,ある文字数で強制的に改行を入れて送信するものがありますが,それに頼ると思わぬ結果になることがありますので注意しましょう.
メールソフトが改行を入れるのは送信時ですので,返事を書いているときには気付きませんが,送られてきたメールは上のようになってしまっているのです. |
プレーン・テキスト形式のメールが無難です. 誰にでも同じように読める(可能性が一番高い)電子メールの書式は,プレーン・テキスト形式(文字飾りのない文字情報だけからなっている文書)です. 最近では,初期設定として文字の色や大きさ,メールの背景を指定することのできるリッチテキスト形式や HTML 形式になっているメールソフトが増えています.
なお,同じ名前のメールソフトであってもバージョンが異なると意図した通りに表示できないなど,リッチテキストには標準規格はないものと考えてください. また,書式情報などのためにメールの物理的なサイズが大きくなるということは,送受信に要する時間やネットワークの負荷を増大させることを意味します. |
適切な件名を付けましょう. メールには,メッセージの内容を反映する件名(「Subject: 」,「題名」などと表記されるメールソフトもあります)を付けましょう. 新聞や雑誌の広告の見出しのように内容に対してある程度予想がつき,興味を引くようなものが理想です. などのように,開いてみるまで内容の予測が付きにくいものは好感を持たれません. そればかりか,短時間でたくさんのメールを読まなければならない(質問の答えを知っているかもしれない)人には読んでもらえないかもしれません. 初めから良い件名を付けることは難しいかもしれませんが,向上心次第でうまくなるでしょう. 元々インターネットのメールシステムでは,件名には前述の1バイト文字以外が用いられることは想定されていませんでしたので,英語のシステムの上で日本語を表示させているようなメールソフトや,古くからの UNIX のメール環境をそのまま用いている場合には,件名に仮名漢字を表示することも入力することもできません. |
署名(signature)は必要,でも個人情報には注意を. 誰からのメッセージなのか受信者に確実に分かるようにするために,メッセージの終わりに名前とメールアドレスを含む「署名」を付けることが勧められています. 署名はメールの最後に付きますので,数行では収まらないようなメールを書く習慣のある人は,あらかじめメールの最初で自分の名前を名乗っておいた方がよいでしょう. 個人情報(自宅の住所や電話番号,職場の連絡先など)をみだりに公開すると「招かれざる客」(勧誘やストーカー行為)を招いてしまうことがあります. また,受け取ったメールを引用して返事を書く場合には,署名は削除するようにしましょう. 最近,メール受信者に個人情報をアドレス帳に容易に登録してもらえる V-card という電子名刺機能が Microsoft 社のメールには付いていますが,他のメールソフトでは「妙な添付ファイル」として見え,(コンピュータウイルスではないかと)不安を与える原因にもなりますので受信者がそれを必要としている場合以外には使用しない方が無難です. |
安易にメールを転送しないで. 別の何人かに同じ内容のメールを送らなければならないようにしむける語句を含むメールを受信したときにはチェーン・メールではないかと疑いましょう. 伝統的に出回っていたものの多くはコンピュータ・ウイルスに関するもので,「急いで」「なるべく多くの方へ」のような表現が使われているのが特徴でした. また最近では電子メールユーザーの拡大とともに「不幸の手紙」系のものや四方山話系のいたずらメールが増えているようです. チェーン・メールはインターネットの資源(メールサーバやネットワーク回線)を無駄遣いすることになりますので,全てのインターネットサービスの速度の低下を招く原因となります.また,そのメールを受け取った人には,無駄なメールのために時間と回線接続の費用と精神的ストレスをもたらすことになり,そのメールを送りつけてきた人をうらめしく思うかもしれません. もしチェーン・メールを知り合いから受け取った場合には送ってきた人にそれ以上チェーン・メールを出さないようにお願いすることは良いことかもしれませんが,チェーン・メールを最初に発信した人でなければどの人も被害者の一人には違いありませんから,責めたりしないようにしましょう. もし知らない人から来たメールであれば返事は出さないことです.返事が来ることによってそのアドレスが使われているかどうかを調べるために適当なアドレスで無意味なメールを出している人からかもしれませんから. どうしてよいか分からない時には所属組織(企業,学校,プロバイダ)のシステム管理者に相談されてはいかがでしょうか. |
ウイルスやワームに感染していませんか? コンピュータ・ウイルスやワームの多くは電子メールに添付されて意図せずに感染していくもので,感染するだけのものからファイルが消えたり,コンピュータを使用不能にしたりする悪質なものまであります. ウイルスやワームに感染していることが明白な間は,そのコンピュータからメールを送信してはいけません. ウイルスやワームに感染していることが分かった場合には速やかに所属組織(企業,学校)のシステム管理者や,情報処理振興事業協会(IPA)のセキュリティーセンター(コンピュータウィルス110番 Tel:03-5978-7509,FAX:03-5978-7518,E-mail: に相談し,ウイルスやワームの駆除に努めなければなりません. たとえファイルが消えたりする悪性のウイルスでなくても意図せずに大量のメールが配信されることによりインターネット資源(メールサーバや回線など)を浪費し,場合によっては回線のパンク状態を引き起こす可能性もあるからです. また,日頃から自分が使用しているコンピュータがウィルスに感染していないか注意をする習慣をつけることが大切です. |
安易にファイルを添付しないで. 電子メールにはファイルを添付して送ることができ,非常に便利なのですが,いきなり送りつけることは慎みましょう. とてつもなく大きなファイルが送られてきた場合,受信者はメール受信中にコンピュータが止まってしまったと思うかもしれません. また,大量の大容量のファイルが送受信された場合,メールサーバがスローダウンし,多くのユーザにその間、サーバに接続できないなどの被害をもたらすこともあります. |
刺激的なメッセージや挑発について. 時には非常に刺激的な表現や挑発するようなメッセージを受け取ることがあるかもしれません. 中には人の名前とメールアドレスを メッセージに対してどうしても感情的な応答をしなければならないと思った時には,送信する前に一晩待ってみて,メールを出した結果がどうなるのか,もう一度冷静に判断しましょう. メールの受信者は,文化的背景,ユーモアの基準があなた自身とは全く異なっている人かもしれません. 略語は全く異なった意味に取り違えられることがありますので,間違いなく意味が通じる相手以外には使わないようにした方が賢明です. 非常に困惑するようなメールを受け取った場合には所属する組織(会社,学校,プロバイダ)の管理者に相談するのも一案です. |
メールを出す前に宛先と緊急性をもう一度確認. メールを誰に送ろうとしているのかをしっかり確認しましょう. 返答が至急欲しいような用件の場合は,電子メールが一番良い通信手段なのでしょうか? メールを読んだかどうか後で電話をかけたくなるようであれば,最初から電話をしなければならない用件だったということでしょう. |
知らない会社からメールが来たら... 郵便による広告や郵便受けへチラシを投げ込むなどの従来の方法に比べ,電子メールを送信することはコストや時間,労力の大幅な節約につながるため,増加の一途をたどるものと思われます. インターネット上で懸賞に応募したり,無料のサービスを受けたりする場合には,広告を受け取ることが条件になっている場合がありますが,この他にも電子メールアドレスは,ホームページや掲示板,メーリングリスト,アンケートなどから収集され,電子メールで売買されており,見知らぬ会社が見知らぬ人へ電子メールを出すことは,わずかな投資金額で簡単にできるのです. 従来から郵便受けに来ていた興味のない郵便やチラシと同様に,電子メールによる広告は電子メールを使っている限り全く受け取らないようにすることは,たぶん不可能でしょう. 送信を中止するように連絡をすることは,一見確実な方法のように見えますが,場合によっては受信していることを相手に知らせることにもなります. 一番トラブルの少ない方法は,一見消極的に見えますが,不要な電子メールはただ捨てることです. |
メーリングリストについて. メーリングリストとは,メールの同時配送先リストのことで,一つのアドレスにメールを出すと,リストに登録してあるメンバー全員に同じメールが届くしくみです. ある特定の個人に出すメールとは異なり,自分の全く知らない人に読まれるものであるということを前提に考えておく必要があります. |
メーリングリストは現実世界とは別の一つの社会. たとえ同好会的な趣旨のメーリングリストであったとしても,色々な考えや感受性の違いがあることを受け入れ,全てのメンバーの人格への配慮を忘れないようにしましょう. 例: 「整形外科の担当医を教えてください.」 |
宛先間違いメールの予防と対処 メーリングリストから届いたメッセージに返信する場合には宛先に注意しましょう. 宛先を間違えてうっかりメーリングリストに流してしまった時は,本来の送信先の相手とメーリングリストに謝罪のメールを送りましょう. |
何についてのメッセージか明確に. あるメッセージについて返事を出す時には,オリジナルの文を引用として含めるか,「○○についてですが」と具体的に何に付いてのコメントなのか分かるようにしましょう. |
用いることのできる文字の制約. 件名に日本語が表示できない方がいらっしゃることを想定しているメーリングリストでは,件名にはキーボードから直接打ち込めるアルファベット・数字・記号のみを用いるよう求められます. 文字情報だけからなるメールが基本です.HTML形式のメールや画像を添付したメールをメーリングリスト宛に送らないようにしましょう. |
長文には件名に断りを. 長い論説や個人的な論述を出す前には,全文章と宛先を点検し,覚悟を決めて受信者がメールを開くことができるように(本文にではなく)件名に「長文」という言葉を含めておくと良いでしょう. 論説の概略だけをメーリングリストで紹介し,ホームページで全文を公開するのはとても良い方法です. 【 メールの例 】 |
質問には適切な件名を. メーリングリスト上で質問をする場合には, 「質問があります」では,いそがしい人には読んでもらえないかもしれません. 質問の内容が分かるような適切な件名を付けて気を引くようにしましょう. 例: 【質問】 ネチケットについて教えてください! メーリングリストでは一度に多くの方に質問を見てもらうことができますが,しばらく何の返事もない場合もあります. いずれにせよ,返事のないことや質問者が十分に満足する回答が得られないことを理由にメーリングリストで不満を述べるべきではありません. |
メーリングリスト上での質問の回答には感謝と要約を. 誰かに回答をもらったならば,質問者はメーリングリスト上で十分なお礼を言いましょう. メーリングリストはみんなで協力しあって有益な情報を分かち合う "give and take" の精神 (" で成り立っています. 時には誰かが答えるより早く解決してしまう事があります. |
複数のメーリングリストで同時に質問するのはよしましょう. 「同じ内容の質問のメッセージ」を複数のメーリングリストに同時に出すことは避けましょう. 質問ではなく情報提供の場合,複数のメーリングリストに対して同じメッセージを送るのは構いませんが,メンバーが重複している可能性が高いと予想されるメーリングリストが含まれる場合には特に同じメッセージが複数届くメンバーに対して謝罪をしておきましょう. |
メーリングリストでは論争に火がつきやすい. 感情的な論争を引き起こしたり巻き込まれないようにしましょう. 商業的な広告や宣伝は,メーリングリストの目的や趣旨と合致するものでなければ一般に好まれないものと考えておいた方が良いでしょう. |
コマンドメールについて.
多くのメーリングリストでは,メールサーバに直接命令を送ると参加メンバーの一覧や過去のメールを取り寄せたり,メーリングリストから脱退したりすることができるようになっています. コマンドメールの宛先や,どのようなコマンド(命令)が使用できるのかはメーリングリスト毎に異なります. コマンドメールの失敗のほとんどは宛先の誤り(メーリングリストに出してしまう)と,コマンドを2バイト文字(仮名漢字と同じ幅のアルファベット・記号)で送信してしまうことです. コマンドは件名の欄に書くものと本文に書くものがあり,メーリングリスト(のプログラム)によって異なりますので,ウェルカムメッセージを良く読むことが大切です. また,コマンドは行の先頭から書かねばならず,コマンド以外の余分なもの(署名など)は書かないことが基本です. |
参考になるホームページリンク集 これまでに述べてきたことがネチケットの全てではありません.
本文中で紹介したホームページおよび関連ページ
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謝辞 本稿の執筆にあたり,協力していただいたみなさんに感謝いたします.
そのほか,ご協力をいただいたにもかかわらず掲載できなかった方々にも深謝いたします. ご協力をいただいたにもかかわらずここに掲載できなかった方々にも深謝いたします. Copyright (C) 2000 (1/20-1/31,4/18) - 2001 (1/25,2/24,4/16) |
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