Pretty Man
「ランディ様・・・あの、その・・・」
「えっと・・・アンジェ・・・俺・・・」
風の守護聖ランディと、温和な女王候補のアンジェリーク。
2人は誰がどこからどう見たって両思いだ。なのに、
お互いの気持ちが伝わらないのだ。と言うのも、ランディの間が悪かったり、
アンジェが勇気を出せなかったりと、ささやかなことが重なってしまっているのだ。
「・・・ランディ様から・・・どうぞ・・・」
「えっ!?俺から!?・・・ええと・・・な、何でもないよっ!?」
そして今日も、2人のデートは進歩無しに終わった。
「なんだ、ランディ。またお姫様に伝えられなかったのか?」
オスカーが元気の無いランディに問いかける。
「な、何でわかったんですか!?」
誰でもわかるだろう、という疑問はさておき、オスカーはいつも通りこう言った。
「俺が、恋の悩みを抱く人物を分からないはずがないだろう?」
・・・今まで何度、この言葉を聞いたのかなぁ?
ランディはふと思いながら大きな溜息をついた。
「アーンージェっv・・・また、駄目だったワケ?」
こちらではレイチェルがアンジェリークに問う。
「・・・レイチェル・・・」
とたんに、アンジェリークの瞳に涙が溢れた。
「あ〜もう!泣かないのっ!ワタシも協力するから!ね?」
・・・どうして私って、いつもこうなの?こんな自分、いや!
アンジェリークはレイチェルに促されて部屋に入った。
そして、夜―――――。
・・・コンコン
「・・・はい、どなたですか?」
アンジェリークは泣き腫らした目をこすりながら返事をする。
「・・・アンジェ、起きてる?俺、ランディだよ」
「・・・!!!」
驚きを隠せないままアンジェリークはドアへと向かう。
キィ、と少しドアを開けると、困ったような顔をしたランディがいた。
「ごめんな、こんな時間に・・・。
ちょっと、一緒に来てくれないか?」
アンジェリークは一瞬戸惑ったが、こくんと肯いてランディの横を歩いた。
夜の森の湖は、月の晄を受けて神秘的に輝いていた。
「・・・どうして、泣いてたんだ?」
ランディが話をきり出す。
「私・・・私・・・っ!」
アンジェリークはまた泣き出してしまった。
「!!?ア、アンジェ、無理に言わなくていいんだぞ?
君が泣くのを見るのは俺も・・・辛いからさ。」
あわてて慰めようとするランディに、今度はアンジェが話し始めた。
「・・・私、自分が、嫌いです・・・!
こんな、何も言えない勇気のない自分が、嫌いです・・・!」
ランディは驚いてアンジェを見る。
「ランディ様に育成をお願いしてるのに・・・私にはちっとも勇気がなくて・・・
言いたいこと・・・我慢してる自分が、嫌いなんで・・・!!?」
「・・・俺は・・・君のこと、好きだ」
ランディに抱きしめられて、アンジェは驚いたまま動けない。
「ラ、ランディ様・・・」
「俺は、君のこと好きだからっ・・・!
だから、自分の事を嫌いだなんて言うな!
・・・俺だって、いざとなったら勇気を出せなかった・・・
でも、言えただろ?・・・君のこと、好きだって」
やっと、糸が繋がった。
「ランディ様・・・私・・・
ランディ様のことを好きだって伝えられない自分が嫌いだったんです・・・。
でも、私はランディ様・・・貴方のことが、大好きです・・・」
頬を薔薇色に染めて、アンジェは消え入りそうな声で伝えた。
そして・・・にっこりと微笑んだ。
やっと、気持ちが通じ合って・・・重なった。
不器用だけど、可愛い人たちの物語は、これから始まる―――
<FIN>