はじめはただの世間話。
「絶対内緒にしといてくれよ。・・・・俺さ」
 そこから、
「リュミエール様って・・・・」
 こそこそ話に始まって・・・・。
「・・・・俺が君に話せることは、これくらい・・・・」
「・・・・・」
 絡まる視線、呼吸が分かる程の位置。
 ざぁ・・・・・・っ、
 ばさばさばさ・・・・・・・・っ
 いたずらな風が吹く中、


 気がついたら、


 キス、してた。


キス





『・・・・・・』
「・・・・っ!?」
 見つめ合って、何秒たった頃だろうか、
先に我に返ったのは、ランディの方だった。
 思わず、口元を押さえる彼を見て、アンジェリークが、
「ぁ・・・っ」
 と、声をあげて、ふいっと、目をそらした。
 そして、真っ赤になって、うつむいてしまう。
「ごっ!ごめん!!」
 反射的に、ランディは思いきり頭を下げた。
「い、いえ・・・・」
 ・・・・あの、私・・・・。
 アンジェがどもってる。
 いつもはっきり言う、アンジェが。
 おかげで、彼も混乱してきた。
 
 私・・・・・・・
 俺・・・・・・・
 
   一体、何だったんだ!?あれは!?

   でも・・・・・。

「あ、あの、そんな、謝らないで下さい」
「アンジェ・・・」
 でも、俺・・・・、
 何か、彼が言いかけたのを遮るように彼女は続けた。
「その、・・・・・びっくりしたけど、嬉しかったし・・・・」
「え?」
 今、何て・・・・?
 再び、二人の視線が絡み合った。
 今、確かに、『嬉しかった』って言ったよな!?
「だから、その・・・・」
 ごにょごにょ・・・・。
 彼にしか聞こえないぐらいの声でリピート。
「・・・・・」
 彼女が言い終わったと同時に、二人の頬が、一気に染まる。
 それって・・・・・・。
 それでもランディは事実をなかなか理解できなかった。
 こんな夢みたいなことがあっていいのか?
 でも、目の前のアンジェリークは、恥じらうように、口元を
押さえて、上目遣いで、彼を見つめている。
 何かを待つような瞳で。
 ごくり。
 ランディの喉が鳴った。
 言うなら、今しか、無い!
「俺も・・・・、君のこと、その・・・」
 ダメだ、顔、見られない!
 ランディは、自然に視線をそらしてしまう自分に
気づきながら、
「好きだから・・・」
 告白した。
 そこに、
 くすっ。
 くすくすくす・・・・。
 可愛い笑い声。
 顔を上げようとした瞬間に、
「私も」
 ランディさまのことが好き。
 と、アンジェリークが耳元で囁いた。
「・・・っ」
 視線を戻すと、
 ランディさまっ。
 嬉しそうに笑うアンジェリークの笑顔が満開で。
 笑う、彼女の声は、本当に嬉しそうで。
 思わず、ランディは眩しそうに目を細めた。
 そして、
「・・・な、なんか、いきなりで、気の利いたこと、
思いつかなくて・・・・」
 ごめん。 
 と、またつい癖で謝ってしまう。
 それを見て、アンジェリークがまたくすくすと笑って、
「無理しなくても大丈夫ですよ
充分、かっこいいもの、ランディさま」
 と、アンジェリークが言うと同時に、
ぼん!とランディの顔が一気に上気した。
 アンジェリークが誉めてくれるなんてことは、
本当にいままで、無かったから。
「そ、そう、かな??」
 あまりの嬉しさで、自然と顔がゆるんでしまう。
「ええ」
 そう言うと、アンジェリークは、彼の手の上に自分のそれを、
そっと、重ねて、微笑んだ。
 そして、そのまま、見つめ合って・・・・、


「アンジェ・・・・」
「はい?」
「・・・・・・・その、もう一回、いい?」
 と確認するように、ランディが見つめた。
 それに、困った顔で、アンジェリークは、
「・・・・そういうことは、何も言わないで、
気配で感じとるんですよ?ランディさ・・・」
 ま。

 ・・・・・・・・。

「・・・・・次からは、そうするよ」
 ごちそうさま、とでもいう風に、ランディは、
に、と笑った。
「・・・・ばかっ」
 ドキドキさせないでよ・・・・。


   本当のドキドキはまだまだ先の話・・・・・。