ideal
『オスカー様の理想の女性って、どんな女性なんですか?』
『理想の女性?なにを聞くかと思えば…。
俺を好いてくれる女性なら、みんな理想の女性だぜ』
豊かな青い髪を揺らして、ロザリアは首を傾げた。
その時のロザリアは納得したような、しないような複雑な表情をしていた。
そんな会話をしたのはいつごろのことだったか…。
もう終わりを告げた女王試験の、ほんの一時の会話の断片。
オスカーは、執務机で頬杖をつきながら、そんなことをぼんやりと考えていた。
金の髪の女王の誕生。
青い髪の補佐官の就任。
旧き宇宙の移動。
試験が終わってから、慌ただしく過ぎていった様々な出来事。
それが一段落して、ようやく落ち着いて周りを見渡せる状況になった。
そんな折りに、ふと思い出したこと。
「…何故、こんなこと思い出したんだ?」
別に何と言うこともない、ただの会話。
ただ…話してた相手がちょっと気になる存在だった、というくらいのものだ。
──そう。『ちょっと気になる存在』…その程度のはず…だった。
だが、この短い期間で、ロザリアは見違えるほど美しくなった。
気丈なまでの芯の強さは相変わらずだが、
女王試験の様々な出来事に感化されたか、落ち着いた物腰と、
補佐官として冷静に物事を見極める視線の鋭さとが備わって、
誰の目にも、彼女の成長ぶりは鮮やかだった。
だが、ロザリアはオスカーと宮殿の廊下でたまにすれ違っても、
型通りの挨拶を返すばかりになった。
それは女王候補であった頃よりも壁を感じさせる、無機質なまでの。
オスカーはそれが気にいらない。
好かれている自信はあった。
そもそもオスカーを嫌う女性の方が少数派であるが、
女王候補たるロザリアに対しては、
軽口を叩きながらも、努めて騎士として接してきたつもりだ。
そして、ロザリアの自分への態度の端々に感じ取れていたもの。
ロザリアの瞳の奥に潜む「特別」な何か。
それはただの己惚れだったのだろうか?
彼女が女王にならないと知った時も、
自分への想いゆえだと、嬉しく思ったのに。
オスカーはそこまで想いを馳せると、口を塞ぐように片手を顔にあて、
ため息をひとつつきながら、ほんのりと頬を熱くする。
「もう…『気になる』どころじゃないからな…。
まったく、この俺が…なんてこった」
朝靄のかかる早朝、オスカーは馬を走らせ、聖地を駆けた。
小川のせせらぐ丘で、鞍から降りて、馬を休ませる。
誰の姿も見当たらない、静かな聖地の外れで迎える朝。
落ち着いて何かを考えるには、うってつけかも知れない。
川のほとりに腰を下ろすと、さらさらと流れる水をしばらく見つめていた。
流れる水で思い出されるのは、彼女の背に豊かに流れていた蒼い髪。
朝の光に輝くその水面の蒼さで思い出されるのは、彼女の澄んだ蒼い瞳。
心を無にしようとしても、ロザリアの姿だけが、どうしても浮かび上がる。
「ふぅ…」
深く溜め息を吐くと、オスカーは青草の上へ寝転がった。
空を見上げると、青空と白い雲に、再び彼女の笑顔が映し出される。
「いつのまに…こんなに囚われてたんだろうな…」
ノックの音が、ロザリアの執務室に響く。
「はい、どうぞ」
執務机に書類を広げ、ペンを動かす手を休めもせず返事を返したロザリアは、
ノックの主の姿を見て、少なからず驚きの表情を見せた。
「やぁ、麗しの補佐官殿。
相変わらずの輝かんばかりの美貌だ。
その美しさの前には、どんな男でも虜になるだろうな」
いつもの軽い調子で言ったオスカーの言葉には直接応えず、
ロザリアはペンを持つ手を止め、来訪者を迎える。
「…オスカー。珍しいですわね。貴方がわたくしの執務室へ出向くなんて」
「そうだったか?まぁ、確かに普段は使いの者を介してばかりだったな。
だが、今日は…個人的に、二人で時間を持ちたかったんだ。
少し、時間を空けてもらえないか」
ロザリアはペンを持つ手を一瞬ピクリとさせたが、
すぐに普段の表情をとりもどすと、
机に積み上げられた書類の山に視線をやりながら、返事を返す。
「申し訳ないのですけど、執務が立て込んでいますの。
プライベートなことでしたら、また今度にしていただけませんかしら」
そして、オスカーの返事も待たず、手元の書類に視線を落とし、
ロザリアは再びペンを走らせる。
仕事に没頭し始めたロザリアにそれ以上食い下がるわけにもいかず、
オスカーは執務室を後にするしかなかった。
「そう…か。仕方ないな。今日のところは失礼しよう。
次には時間を空けてくれよ」
その日はそれで引き下がったオスカーだったが、
翌日も、その次の日も同じ言葉で遠ざけられるに至って、
だんだんと焦り出してきた。
『俺は…本当に好かれているか?
もしかして、本当に己惚れだろうか?』
小さな疑問は、大きな不安へと形を変えていく。
直接問おうにも、肝心のロザリアは、
オスカーとの会話を持とうとすらしてはくれない。
「………。ええい、いつまでもこのままでは埒があかない!
執務中だろうが構うものか!」
業を煮やしたオスカーは、ロザリアの執務室へと再び歩みを進める。
すると、宮殿の廊下をこちらへ向かって歩いてくるロザリアと出くわした。
ロザリアはオスカーに気づくと、会釈だけしてすれ違おうとする。
ここで見逃しては今までの二の舞だ。
オスカーはすれ違いざまにロザリアの手を掴む。
ロザリアは驚いた様子でオスカーを見るが、すぐに視線を逸らすと
オスカーに掴まれてる手首の戒めを振りほどこうと身動ぎをする。
「──オスカー、放して下さいな。
わたくしは急ぎの用事がありますのよ」
視線を合わせぬままのロザリアの言葉に、
だがオスカーは手首を掴む力を緩めようとはしない。
くいっと引き寄せると、廊下の壁にロザリアを凭れさせるように押し付けた。
その拍子に、ロザリアが抱えていた腕の中の書類が、足元に散らばる。
オスカーはロザリアの顎を軽くあげさせ、瞳を覗き込むように顔を近づける。
「いつもそれだな。つれない君も魅惑的だが…気づいているか?
君の言葉に、一喜一憂している男が目の前にいる事を。
冷たくあしらわれる度に、俺の心は哭いてるんだぜ?」
大方の女性は、オスカーがこれほど至近距離で囁きかければ、
蕩けたように頬を染めるものだ。だがロザリアは、
何事もなかったかのような平静な声色で言葉を返した。
「あら、それは貴方の方でしょう?
貴方が聖地を留守にする度、聖地中の女性から活気が消えると評判でしてよ?」
「…その中に、君は含まれているのかな?だとしたら嬉しいんだが」
ロザリアはオスカーの腕をパシッと軽く叩いて戒めを解かせる。
「わざわざわたくしに声をかけなくても、
貴方に声を掛けられるのを待ってる女性は多いのでしょう。
わたくしと戯れ言を交わす時間がおありなら、その方達のお相手をなさることね」
言うなり、ロザリアは散らばった書類を素早く拾い集める。
「わたくしの理想とは、少々貴方は違っていらっしゃるわ。
冗談でもわたくしを口説きたいのでしたら、
その軽い性格を矯正して出直してくることですわね」
書類を抱えると、オスカーに背を向け、顔だけを振り向かせる。
「では、わたくし急ぎますので」
軽く会釈だけをし、ロザリアは廊下を歩き去っていく。
ガッ!
オスカーは握り締めた拳を宮殿の壁に強く打ち付けた。
そうして、オスカーは無為に幾日かを過ごした。
あれから一度も、ロザリアと話す機会は持てずにいる。
執務室にいるのも苦痛で、オスカーは森の湖へと散策にでた。
珍しく、湖のほとりにも、滝の前にも人影はなかった。
オスカーは安堵したように溜め息を吐くと、湖のほとりに腰を下ろした。
滝の音と、風にそよぐ葉擦れの音。
彼女と過ごした、飛空都市の森の湖と変わらない。
傍には彼女がいないだけ。
ぐるぐると、ロザリアの言った言葉が頭を占める。
「…振られた…というべきなんだろうな」
「──誰に?」
不意に、頭上から聴きなれた声が響く。
驚いて見上げると、聳え立つ樹の枝に、少女が腰掛けていた。
肩まで伸びるふわっとした金色の髪。
大きく見開かれた翡翠の瞳。
それは試験中によく見慣れた少女の…。
その人物が誰であるかを理解するのに数瞬の間を必要とした。
「──!!へ、陛下!」
女王の正装ではなく、動きやすい軽装に身を包んでいたが、
それは紛う方ない、彼が仕え守護する、女王アンジェリーク。
「陛下!なんでこんなところに!」
「うふふ、驚いた?ちょっとデートの待ち合わせ♪」
「デート?樹の上で…ですか?」
「今みたいに、誰かと鉢合わせると面倒だから、つい、ね。
時々抜け出してここに来るのよ。
ジュリアスやロザリアには内緒にしておいてね」
樹から降りながら、悪びれずに笑顔でそういうアンジェリークに、
オスカーはただあっけにとられ、そして、笑い出した。
「…まったく、女王になっても変わらないな、お嬢ちゃんは。
……っと!これは、とんだ御無礼を……」
オスカーの話し方がつい敬語でなくなった事に対し、
アンジェリークは気分を害した様子は見せず、むしろ嬉しそうに笑った。
「ふふ、オスカーはやっぱりそういう話し方のほうが自然だわ。
今日はお互いプライベートだもん、「敬語はなし」よ、女王命令!」
暫くまじまじとアンジェリークを見返してしまったオスカーだったが、
ひとつ溜め息を吐くと、苦笑した。
「……ふっ、臣下にタメ口を強要する女王ってのも前代未聞だぜ」
「…で、誰に振られたの?オスカー。
やっぱり、彼女みたいな潔癖な人には分が悪かったのかしら?」
アンジェリークはにこにこと笑顔を浮かべたま、軽い調子で訊ねる。
その様子から、オスカーが誰を想っているのかを、
アンジェリークは全て察してることを知った。
黙秘を通してもよかったが、その時のオスカーは、
何故か全てを話したくなった。ロザリアの親友である彼女に。
いつもの自分なら、プライドが邪魔して口にすることすら有り得ないだろうに。
これもまた、森の湖の魔力であるのか。
それとも、彼女の持つ、優しい微笑み故か。
「…面と向かって言われたのさ。『自分の理想は貴方じゃない』とね」
言いながらオスカーは再びどさっと腰を下ろした。
「…それだけ?」
アンジェリークはきょとん、と瞳を見開いた。
「嫌いだ、とも、他の人が好きだ、とも、言われてないの?」
オスカーははっとしてアンジェリークを見返すが、すぐに首を横に振る。
「それで充分じゃないか?そう言ったも同然だろう」
「オスカーは?彼女が最初から『理想の女性』だった?」
オスカーは今度こそ絶句した。
「先回りして、自己完結させるのは早いんじゃない?」
アンジェリークは苦笑を浮かべながら、靴をを脱いで裸足になると、
湖のほとりへと歩き出し、冷たさの残る湖に、浅く足を踏み入れる。
「私の嫌いなタイプってね、『不誠実な人』だったの。
貴方は軽くて、女性には誰にでも優しくて…まさにそういうタイプの人だと思ったわ。
でもね…知ってた?それでも、私はオスカーに憧れていたのよ」
『本気になったのは別の人だったけどね』、と付け足し、
アンジェリークは湖に足を浸したまま、ふわりと振り向き、笑顔を向けた。
「…で?オスカーは、ちゃんと、はっきりと伝えたの?
軽口は、伝えたうちに入らないわよ」
「…そ…れは…」
ロザリアの前でも、いつも軽口で誤魔化した。
それは、拒絶されたとき、傷口が小さくてすむように。
…無意識の保身を。
相手の気持ちを探るばかりで。
一番肝心なことを、きちんと伝えていない。
拒絶されるかもしれない。
今度こそ完全に嫌われるかもしれない。
だが、せめてもう一度──
オスカーの眼差しからは、憂いと迷いが消えていた。
ゆっくりと、湖のほとりから立ち上がる。
「……俺が、お嬢ちゃんにこういうことの助言をしてもらうとは
正直思ってもみなかったが…。………その……ありがとう」
アンジェリークが微笑みながらひらひらと手を振ると、
オスカーは身を翻し、宮殿へと走って行く。
そのオスカーとすれ違うように、森の湖への道を駆けてくる人影があった。
アンジェリークは零れるような笑顔を向けて、
軽く息を切らして駆け寄ってきた相手の腕に、自分の白い腕を絡ませる。
「…おめー、あいつと何話してたんだよ」
「ん?…好きになったら、理屈なんて関係ないな、って話よ。
ほんと…二人とも、変なところで不器用なんだなぁ…」
「ロザリア、いるのか?」
ロザリアの執務室をノックの音が響く。
「──…どうぞ」
しばらくの間を置いて、返事が返る。
躊躇いがちにドアを開けると、窓枠に手をかけ、
外を眺めているロザリアの姿があった。いつもの補佐官の衣装ではあるが、
ヴェールを外して、結い上げていた髪も背に流していた。
窓から吹き抜ける風に靡く蒼い髪から、甘い香りが漂う。
豊かな蒼い髪が背に流れるその姿は、女王試験の頃と変わらない…、
いや、以前より艶やかさが増したように思える。
何を想って…何を眺めている…?何が…何が君を──
「何が君を…そこまで美しくする…?」
思わず、オスカーの口からそんな言葉が洩れた。
「…戯れ言に付き合うつもりはありませんわ。
用がないのなら…出ていって下さいません」
ロザリアは相変わらず背を向けたまま、頑なにオスカーを拒絶する。
オスカーは自分の額に手を当てると、ゆっくりと顔を横に振った。
苦しそうに言葉を絞り出す。
「…違う、戯れ言なんかじゃない…」
いつもの軽口ではなく、無意識に零れた言葉。
こうしてロザリアを目の前にしてると、一層強く感じ取れる、己の感情。
ずっとこのまま見つめていたい。
片時も離れぬほど傍にいたい。
その瞳に自分だけを映させたい。
他の誰にも見せずに閉じ込めたい。
その柔らかな髪に指を絡ませ…、
──その口唇に触れたい。
「オスカー…?」
辛そうに表情を歪めてるオスカーの様子に訝しんだロザリアが、
オスカーの傍に歩み寄り、その名をそっと呼んだ。
自分の名を呼ぶロザリアの声に…オスカーの理性の箍が外れた。
「!!?」
ロザリアはいきなり腕を掴まれたかと思うと、
その華奢な身体を引き寄せられ、オスカーの胸に飛び込む形となった。
突然のことに反応を返す暇もなく、顎を捕らえられ、口唇を奪われる。
「…んっ…!」
逃れようとしても、掴まれた腕の力は緩められる事はなく、
ただ儚く、身を捩るだけ。
ようやく口唇を解放され、掴まれた腕を解かれると、
ロザリアは渾身の力を込めて、腕を振り上げた。
パシィッ──!
オスカーの頬に、紅く痕が残るほど強い平手打ちが飛んだ。
「貴方の遊び相手になる気はありませんわ!
人肌が恋しければ他の方をあたってくださいな!」
「遊びなんかで、君にこんなことが出来るか!」
間髪入れずに叫び返したオスカーの言葉に、ロザリアの口が閉ざされた。
オスカーは一つ大きく息を吸い、気持ちの昂ぶりを落ち着かせる。
「…自分でも…驚いている。俺が…こんなに誰か一人に囚われるなんてな…。
君が…他でもない君がそうさせているんだ。
いや…理由やきっかけなんて、どうでもいい…。俺は…」
「…言わないで」
「いや、言わせてくれ。君に罵られても、今度こそこれだけは伝えたい。
俺は…君を愛している…」
「──嘘よ…」
ロザリアは掠れた声で、オスカーの言葉を否定する。
「……これ以上、わたくしの心を掻き乱さないで。
貴方は想いを寄せてくれる女性なら誰でもいいのでしょう?
…貴方がおっしゃったことよ──」
オスカーの頬を打った手を、もう片方の手で包みながら、
ロザリアはオスカーから離れるように身体をすっと退いた。
「その他大勢と一緒にされるなら、最初から、愛したくなんかない。
だからわたくしは、貴方を愛さないわ…」
「違う!」
自分の理想の女性像なんて…訊ねられるまで、考えた事がなかった。
言われて、考えてみたけれど…『──わからない』。
だから、冗談めかして誤魔化した。
「あの時言った言葉は…確かに嘘ではなかったさ。
理想像なんてものがなかった、あのころの俺なら、
『来るもの拒まず去るもの追わず』だったのも確かだ。
でも…今は違うんだ」
「今は…どうだとおっしゃるの?」
「正直なところ…。今も理想がどんな女性か、わからないんだ。
でも同時に、君を愛していると気付いたその瞬間から…君が俺の理想なんだ」
オスカーはロザリアの白く細い手をとり、その甲に口付ける。
「ロザリアが、ロザリアだからこそ、俺は君に心奪われる」
ロザリアは、すっとオスカーに背を向け、
表情を隠したまま、小さな声で問い掛ける。
「…わたくしがどんなに嫌な女でも?
嫉妬深くて、疑り深くて、意地っ張りで、臆病者でも?」
「天使でも悪魔でも、女神でも死神でも。君が、君である限り」
ロザリアは、口を噤んだ。
表情は相変わらず隠したままに。
オスカーは風に流れるロザリアの髪を一房手に取り、口付ける。
「君のその口唇から、聴かせてくれ。君の本当の心を。
叶うのなら…これから先の時間を、君の傍で過ごす事を許して欲しい…」
「──いやですわ」
ロザリアは背を向けたまま、そう、返事を返した。
髪を弄っていたオスカーの指がぴくっと震える。
「わたくしの理想は、貴方とは違いますもの」
ロザリアはふわりと振り向いた。
その拍子に、オスカーの指に絡まる髪が零れ、さらりと空を滑る。
くすくすと笑うその表情は『美しき補佐官』というよりも『17歳の悪戯な少女』。
「ですから、同じ言葉を言わせてごらんなさい。
『貴方が理想だ』と…わたくしから引き出してごらんなさい」
ロザリアのその言葉で、オスカーの口元に、にっと笑みが浮かぶ。
「…言わせてみせるさ。俺が君に囚われたように…、
君の心を俺で一杯にして、俺のことしか考えられないようにしてやる。
そうしたら…二度とこの腕から放さないから、覚悟してるんだな」
「…楽しみにしてますわ」
きっとわたくしは、貴方のその言葉を待っていた。
君こそが理想だと…そう言ってくれるのを。
でも、待たされた分、簡単には許してはさしあげないの。
…ほんとうはとっくに勝負はついているの。
今だって、貴方の事を想っていたんですもの。
だから…せめて今だけは、ささやかな追いかけっこを楽しんでも、
罰はあたりませんわよね?
そっと、オスカーの腕がロザリアを引き寄せた。
ふたりだけの追いかけっこの始まりの合図は、
──吹き込む風に包まれて、頬に受けた、優しいキス。
fin
久々オスロザ創作でした。しかしね…。ガキがいるよ。オスカー頗る情けねーよ。
今まで私が書いた中でもこれほど情けないオスカーがいただろうか(…いたような気がする)。
逆に、ロザリア強し。オスカー立つ瀬がないんではないか?アンジェに後押しされてるし。
『もろバレだからいっかー♪』と、例のごとくアンジェのお相手はまた名前を伏せてます。
一番手こずったのは、オスカーの口調を敬語にするか、ため口にするか。かなり悩みました。
今回のテーマは「理想」です。オスカーの理想って、結局は、ないんだろ?と思ったもので。
ロザリアも理想の男性っつーたらピッタリなのはジュリアスあたりよね。
でも、「好きになったら、んなもん関係あっかよ〜!」というわけで。