移りゆく日々

J.Kou


厨房に立つ

孫娘2人の夕食を作らなければならない。私はスーパーへ買い物に出かけた。汁物を作ろうと思った。
骨付きのはかた地鶏、白菜、白ねぎ、えのきだけ、豆腐、コンソメスープを買った。子供の好きな
あらびきウィンナーもかった。これはフライパンで、孫娘に焼かせよう。
鍋に水と昆布を入れ、煮立ってかしわを入れた。ぐつぐつ煮ていたら、水が半分程になって、かしはが
鍋の底からせり出している。これは拙いと水を足し入れた。
ぐつぐつぐつぐつ、また水を急いで足し入れた。キャラメルみたいなコンソメのスープの素を5個入れた。
野菜をどっと入れた。鍋からはみ出るので、ふたを押さえた。ちょっと多過ぎたかな、
豆腐がなかなか入らない。コンロの中へ1個、床に1個、ころころところげ落ちた。
これは鍋汁で、野菜炒めをしたようなものだ。味は食べてみないと分からない。
私は責任上、具を多く掬いとった。味は程ほどに感じられる。更にもう1,2度掬った。
上の孫娘は、おいしいと言ってくれた。私からパソコンを借りる義理立てかも知れない。
下のは黙っていた。フライパンで焼いたソーセージをうまそうに食っていた。
私は少し、腹が苦しかった。
娘や妻がいないと、孫娘たちの口数も少なく、家の中がしんとした感じである。
張りきって厨房に立ったにしては、なにかが空回りした心地であった。私も程なくテーブルを離れた。
表紙へ 目次へ