移り行く日々

J.Kou


日直の日々



連休が続けば、即ち私は学校の日直が続くのである。何人かの職員が、それぞれの用向きで出てくる他は、校舎は森閑としている。校舎内外の巡回、戸締り点検、来校者、日誌の記入など、一通りの仕事を済ませても、朝から夕方までの時間はいかにも長い。今日で5日目だが、さすがに疲れてしまった。どう云うのだか、山や海への行楽の疲れとはもとより異なっている。1人でじっと耐えることの疲労と云うべきか。私は努めて外の巡回に力を入れた。机を離れると玄関に立ち、ときに掃き掃除をし、中庭や作業棟、体育館、プールの辺りを注意深く歩くのであった。校舎の場所によっては、外側からのみ施錠のようすが見える所もある。帽子にもすでに夏の日がまばゆく、とりどりの草花が茂っている。私にもツツジは分かるが、あれやこれやの花は何だろうと、ふと吟行会のかずさんやともえさんを思うのであった。小鳥のたかい鳴き声や鳩のくぐもった声も空を飛んでいった。昼には、妻が手渡してくれた袋を開くのである。お茶、食パン、とろけるチーズ、ヨーグルト、夏みかん、せんべい、豆と、このところずっと同じ物を食べてきた。明日とそれから1日置いてもう2日続く。そうすればようやく、カラオケ「ふりむけば日本海」を歌えるし、それに給料日でもある。ここ数日、普段より早く起き、昼の袋の準備をしてくれた妻へ、何枚かのお金から1枚だけ渡してもいいような気がした。出口が見えると、かすかな活力を感じた。山、天敵、宝満、そんな言葉が心をよぎるのであった。
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