移りゆく日々

J.Kou


部屋が明々として

ビールを飲みながら、コタツに入って、囲碁講座のビデオを見ていたら、いつのまにか眠ってしまった。
不自然な体の姿勢のまま目が醒めると、夜中の2時半である。部屋の電気が明々として、テレビの画面がジージーいっている。何とした事だ、明日も仕事だというのに。私は耳からイヤフォンをはずし、
テレビを消し、布団を敷いた。電気を消すと、ひんやりした布団の中で、手足を伸ばした。腰部や背中のあたりに、軽い痛みを感じた。数時間を眠って、目が冴え冴えとしている。もう朝まで眠れないだろう。物音1つしない家の中で、自分の部屋だけが、今まで明々としていたわけだ。
一人暮らしの頃に、よくこんな生活をしたことを思い出した。多くは酔って戻った夜であった。私は自らの性情に、どれほど年月を隔てても、なお変わらない部分があることを思った。
暗い部屋のなかで私は、夜明けまでの長い時間を、じっと1人で待たなければならないのであった。

表紙へ 目次へ