身辺日録

J.Kou


風冷たく

この頃失うものが多い。俳句、民謡のサークルも去年止めてしまった。カラオケも4月には終わる。最後の砦とばかり、囲碁には時々出かける。あいも変わらず低迷の碁であるが、多少の研究努力が、報われる日がいつか来るだろう。碁友のYさんは、80才近いのだが、つまずいて転倒し、両手をついた際、手首の骨にひびがはいったそうである。そして片方にはギブスをはめたそうである。意気消沈したのかどうだか、その後音沙汰がない。もう一人のHさんは、私より重度の緑内障で、たえず眼の不調を訴える。ほかに心臓疾患をかかえ、奥さんは認知症である。そもそもは元気者のHさんも、さすがに参っているようである。私たちの囲碁が、せめてものHさんの慰謝となり得たら有難い。私もこの頃は、パソコンに向かうことが少なくなった。人さまのメールも、あらかたの件名のままに削除することが多い。この度、、HPを更新しました、ご笑覧ください、のメールをすることもなくなった。ご笑覧に耐えうる程のものが何もないのである。
差しあたっての、目標すら何ら見出せず、冷たい風の吹く街に出かけては、ただ背を丸くして、酒を飲むことが多い。そして飲むほどに、暗い底に落ちて行くような心持ちである。


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