移り行く日々

J.Kou

雨が降る


甘木公園


昨日、カラオケの先生に、次回の金曜日は私の仕事日ですから、別の日に変更出来ないでしょうかと相談した。先生は、第5金曜日しかありませんが、その日は私たちの結婚記念日で、他所へ出かけますからというお返事であった。だから今月は1回きりのレッスンである。
それにしても私は、結婚記念日という言葉を、近年久しぶりに聞いたように思った。私と妻にもそれは当然ある筈だが、多分4月であったと思うものの、日にちまでは定かに思い起こすことが出来ない。もうずっと以前、妻にその記念日を尋ねては忘れ忘れして、最後にはとうとう怒られてしまった。以来それきりになって今日に至っている。ある日もう1度さり気なく尋ね、今度こそはしっかりと記憶することにしよう。そしてカラオケの先生のように、私たちもどこかへ出かけることにしよう。結婚記念日、うかつにも私はそれを40回程やり過ごしてしまった。40年に巡った40回、それは共に暮らしたほぼ一生の永さと云っていい。それまで連れ添った妻に、今更申し訳ないもないが、償いの一念と見てもらえるだろうか。今レッスンのカラオケ「愛と戯れの隣に・・・」に、
「おーとーこのずーるい」の歌詞があるが、紛れもなく私は酷薄なその手合いである。
「雨が降る」という上の題名が妙であるが、2,3日前に中味のないままパソコンを閉じていた。
ここのところは、涙心の雨が降る、とでも取ってもらえたらいい。しかし私が結婚記念日旅行などと云い出したら、老いボケの始まりかとばかり、妻は目を丸くするかも知れない。
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