カレンダー

学校の日直室のカレンダーも、自分の家の部屋のそれも、あと1枚になった。もうすぐ正月が来るのだ。1年過ぎるのが何と速いことか。子供時代には、年々がたっぷりと長く感じられたのに、老人になってからは、殊更に月日がたつのが速く感じられる。さながら光陰弾丸の如しである。しかしこの1年に、何か思い出となること、節目となるものがあっただろうか。さあと首をひねる。時代は変動のうちに流れたというのに、自分はただ平板に流されて来たばかりだ。何かしら大いなる変化を期待しようとするのが、今更無理なのかも知れない。私も妻も1年を老い、娘さえもが気のせいだか背中に丸みをおび、孫達が1つずつ学年を重ねたばかりだ。何の変哲もない1年であったが、これから先も多分、同じように過ぎて行くであろう。2005年が終わろうとし、ついに2014年になれば私は78才、ちょうど男の平均寿命ということになる。自分の部屋にも、どこにも、2015年のカレンダーを見ることは、もうないのかも知れない。三途の川というのが有るそうだが、その前に柳川の川下りをするべきであった。8年ばかりもかの地に通いながら、1度として舟に乗らなかった。そう船といえば、近辺の海と、幼い頃に朝鮮海峡を渡ったばかりであった日直室の、今年最後の1枚のカレンダーには、サッカーボールを持った青年が躍動している。さながらわが対岸に、人生の光を見るが如しである。






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