古文真宝

 明治書院、刊。前編、後編、続編の三分冊。前、後編は詩集で、続編が文章集となっています。私は、漢詩が苦手なもので、続編しか読んでいません。
 お奨めの小品は、「阿房宮賦」「前赤壁賦」「岳陽樓記」「喜雨亭記」「弔古戦場文」。もちろん、これ以外も感激的な文章は沢山あります。

 

文章規範

 明治書院、刊
 最初の文章は、「与于襄陽書」著者は韓喩。これは韓喩が襄陽公へ宛てた手紙です。内容をかいつまんで言うと、「貴方は立派な人です。私は金がない。だからお金を下さい。」とゆう、実に判りやすい話なのですが、名文です。いやー、「お金ください」ってゆう手紙でも、名文ならば評価されるんですねぇ。中国は懐が深い。
 その他には蘇東坡「留候論」王安石「読孟嘗君伝」などが面白い。大体、唐宋八家の面々が中心で、古文真宝と重複する物が結構あります。
 続編(続文章規範)は、史記からの抜粋がかなりあります。枚乗の「諫呉王書」(呉楚七国の乱を起こそうとした呉王への諫文。)なんか、史記に全文載っていたような記憶がある。蘇東坡の「刑賞忠孝之至論」は絶品。古今の名文として「岳陽樓記」にも負けない。(激しさがない分だけ私はこっちの方が好きだけど。)ところで、続編が現在出版されているかどうか資料不足で判りません。ただ、戦前は出てました。神田の古本屋街では、割と簡単に見つけられると思います。

 

読通鑑論  王船山 著

 陽明学の大家として日本では有名な王船山の著作です。明治維新を手本にしようと留学した清の学生達が、中国へ逆輸入したことでも有名。資史通鑑に素材を取った論文集です。多分、東莱博議を意識して書いたのでしょう。平凡社の「明末清始政治論文集」に抜粋が載っています。又、日本図書から全二巻で文語訳(つまり、書き下し文)がでていました。(もう絶版になったかなあ?ま、二冊で二万八千円とゆうマニアックな値段だから素人には勧められません。)

 

藏書  李卓吾 著

 平凡社の「明末清始政治論文集」に抜粋が載っています。まず、偉人の伝記を書いて、その後に論評を記載するとゆう形式ですが、この邦訳では、論文のみを訳出してあります。まあ、偉人の伝記なんかは、それぞれの青史の列伝を読めば十分だから、これで良いんじゃないでしょうか。論文の方は全作翻訳されてます。目の付け所が良いし、評価がへそ曲がりでなかなか笑える。公孫弘(漢の武帝に仕えた宰相)、范蠡は特に傑作。まずは図書館ででもお読み下さい。

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